会長挨拶
日本蘇生学会 第45回大会 会長
武田 聡
(東京慈恵会医科大学 救急災害医学講座 主任教授)
日本蘇生学会は、蘇生学の進歩と普及をはかり学術文化の発展に寄与することを目的に1982年(昭和57年)に設立された、歴史ある学術団体です。心肺蘇生のみならず重要臓器の機能不全を回復させるための医学・医療の研究を押し進め、またこの領域の医療を担う人材の育成を目指すと同時に、心肺蘇生法を一般社会に普及し、救命率の向上を図ることを理念・目的に掲げています。
第1回大会は、私自身も大変お世話になった故岡田和夫先生(日本蘇生協議会JRC名誉会長)が大会長として1982年に開催され、その後も代々著名な先生方が大会長をご担当され、今回が第45回となります。このような歴史がある本会の第45回大会の大会長を拝命させていただけることは、私自身のみならず、東京慈恵会医科大学救急災害医学講座としても、大変光栄なことと考えています。
私自身が循環器を専門とする救急医で、これまで特に「心室細動による心臓突然死」の基礎から臨床に深く関わってきました。近年、世界の蘇生を大きく変えた一つが「AED(自動体外式除細動器)」と言っても過言ではありません。日本では2004年に一般市民にAEDの使用が開放され20年以上が経過しましたが、まだまだ有効活用されているとは言えないのが現状です。今回の第45回大会のメインテーマを「AEDの20年を振り返り、今後の蘇生を再考する」とさせていただき、20年経過した現状と、今後AEDをより有効に活用して救命率を向上させるための方策について、議論させていただければと考えています。
また今回の第45回大会のサブテーマとして、「蘇生教育(シミュレーション教育)」と「一般市民の参加」の2つ、もあげさせていただきました。蘇生科学の研究が進んでいますが、JRC蘇生ガイドライン2010以降、蘇生教育科学を含むEIT(Education, Implementation, and Team)の重要性が指摘され、「蘇生教育(シミュレーション教育)」の普及啓発も本学会の重要な使命かと考えています。また蘇生領域での「一般市民の参加」は非常に重要で、最近はサバイバー・コサバイバーやバイスタンダーへのサポートに注目が集まっています。今回の学会では多くの一般市民の方々にも広くご参加いただき、蘇生に関わるチームの一員として、いろいろなご意見をいただければ幸いです。
今回の第45回大会では「蘇生教育(シミュレーション教育)」に関係して、2名の海外からの講演者を招聘予定です。お一人は現在の日本でのDAM(Difficult Airway Management)コースやRRS(Rapid Response System)コースの原点であるコースを立ち上げたピッツバーグ大学メディカルセンターWISERシミュレーションセンターのディレクターで救急医でもあるPaul Phrampus先生、もうお一人は日本との繋がりも深くいつも多くのご指導をいただいているハワイ大学SimTikiシミュレーションセンターのディレクターで集中治療医でもあるBenjamin Berg先生、です。非常に貴重なご講演の機会ですので多くの皆さんのご参加をお待ちしております。
2025年10月に「JRC蘇生ガイドライン2025」のパブリックコメント版がホームページ上で公開され、パブリックコメントを踏まえた最終(書籍)版が今年2026年春に発刊予定です。今回の日本蘇生学会第45回大会はこの「JRC蘇生ガイドライン2025」最終版が発刊されて最初の日本蘇生学会でもあり、最新の蘇生ガイドラインについても議論できれば幸いです。ぜひ多くのご参加をお待ちしております。
